夏の販促といえば「土用の丑の日」

日本人は昔から現代にいたるまで、年越しには年越しそば、ひなまつりには桜餅、5月の節句にはかしわ餅など、季節の移ろいと同時に「食」を通じて四季を感じる文化を継承し続けてきました。そして、夏といえばやはり「土用の丑の日」にうなぎを食べるという文化が、今も人々の心に強く根強いています。

今も昔もうなぎは高価なもの

そもそもうなぎが夏の土用に食べられるようになったのは、江戸時代のレジェンドのひとり平賀源内が、知り合いのうなぎ屋に「何とか売上が伸びるようなキャッチコピーを考えてくれ!」と頼まれて、「本日、土用の丑の日」というキャッチーなコピーを編み出したのが始まりといわれています。

当時うなぎは、天ぷら、寿司、蕎麦などと共に江戸4大グルメの一角を担ってはいましたが、その価格は一皿200文。今の価格に換算すると4,000円前後とすでに大変高価なものだったそうです。つまり江戸時代のうなぎ屋も販促に苦労していたのではないかと推測されます。

全国のスーパーで売られているうなぎ蒲焼100gの値段の平均推移     <総務省統計局 小売物価統計調査より>

そして令和の時代になっても、うなぎの価格は決して安くはありません。ここ数年の全国のスーパーで売られているうなぎの蒲焼の100gの値段をみても1,200円~1,300円で推移しており、鮭やブリなどが100gあたり300円~400円であることからも、そう簡単に食卓に並べられる食材ではないことが
わかります。

首都圏スーパーの販促活動を振り返る

うなぎは大変高価な食材ではありますが、それでも毎年夏になれば、スーパーや百貨店などではうなぎの蒲焼やうなぎ弁当など、さまざまな商品が店頭をにぎわせ、TVのニュースでも「土用の丑の日」の当日には、うなぎ屋からのTV中継でうな重を頬張る人々の様子が映しだされるなど、「年に一度ぐらいは贅沢して食べたい」という気持ちを沸き立たせる魅力的な食材です。

このため、スーパーをはじめ多くの小売店や飲食店が、毎年あの手この手で販促活動を実施しており、7月に入ると各社がこぞって販促を開始しています。
2021年の各スーパーの折込広告の紙面内容をみると「うなぎの蒲焼」の単独訴求が中心ではありますが、中には「う巻き」や「ひつまぶし」「うなやっこ」などのうなぎの活用法を掲載した企業や、「うなぎのおいしい温め方」の検証をして、検証動画をQRコードから見せる工夫や、その結果をリーフレットで配布するなどした企業もありました。

意外と知らない2022年夏の「土用の丑の日」は2回

毎年、夏の販促活動の中心となっている「土用の丑の日」ですが、年によっては2回ある場合があり、今年がちょうどその年に該当します。第1回目が7月23日で「一の丑」、第2回目が8月4日で「二の丑」となります。

前回「二の丑」があった2020年の各スーパーの販促活動をみると、多くのスーパーでは「一の丑」に販促の軸を据えていましたが、一部のスーパーでは「一の丑」「二の丑」とそれぞれで予約の申し込みを行っている所もありました。また、Googleトレンドで「土用の丑の日」「うなぎ」と検索すると、「一の丑」が最も検索の盛り上がりをみせていると同時に、「二の丑」についても小ぶりながら検索の山が見られます。

上記で述べたようにうなぎは高価な食材ではありますが、大変人気が高く、人々の関心も高い食材となっています。「一の丑」「二の丑」それぞれに、しっかり販促計画を立てて、このチャンスを上手く活用することが、前年の売上を上回る鍵となってきます。

関東と関西で違う うなぎに合うお酒

多くの方がご存じの通りうなぎの調理方法は、関東と関西では異なりますが、関東では「背開き&蒸し焼き」で調理を行うため、脂がしっかりと落ち皮が箸で裂けるほど柔らかくなり、トロっとした食感となります。一方、関西では「腹開き&直火焼き」で調理を行うため、パリッとした食感が楽しめます。
     
しかしスーパーなどで売っている「うなぎの蒲焼」は、関東も関西も同じような食感で、その違いをなかなか楽しめません。ですが家庭で焼く前にうなぎに付いているタレを流してから、フライパンやグリルなどで焼き方を変えるなど、ちょっと手を加えるだけで、関東風や関西風に食感を変えられます。

同じ食材でも食感が変われば、合うお酒も当然変わってきます。例えば、関東風のトロフワの食感であれば口当たりのよい日本酒や赤ワインがよく合います。関西風のパリフワの食感であれば、ビールやハイボールなどのさっぱりとしたキレのあるお酒との相性がいいでしょう。白焼きなどでしたら塩にあう柑橘系の白ワインなどがおすすめです。

                                     <総務省統計局 家計調査より>

コロナ禍で家飲み需要が増加し、家計面からも外食を減らし家でゆっくりと食事を味わう傾向が今年も一定数継続されると予測されます。2回の販促チャンスがあるせっかくの機会ですから、さまざまなマリアージュを提案できると、販促のラインアップも幅が広がり、より売上の増加につながります。

いま注目の「うなぎの代替品」とは

季節ものということでうなぎは食べたいけれど、昨今の物の価格の上昇により、今後消費者の財布の紐はより一層固くなることが予想されます。そのような中、いま注目されているのが味や見た目を真似して他の食材で代用する「代替商品」です。
背景には、健康志向ブームや地球環境への関心の高まりでSDGsにも注目が集まっていることなどもあります。うなぎの場合は価格が高く、手が出しにくいといった理由も同時に挙げられます。

数年前のうなぎ稚魚の不漁の際に、メーカー各社がアナゴやイワシ、サーモン、すり身などの水産原料を使った「うなぎの代替品」を次々と開発、販売し、中には水産加工品の賞レースのひとつ全国水産加工総合品質審査会で最高賞の農林水産大臣賞を獲得した商品も出るなど代替商品は今注目の食材のひとつです。
また、ネットでうなぎ代替と検索するとナスやちくわなどスーパーなどでも安価で手に入りやすい食材を使った節約レシピが数多く出てきます。

夏休みのイベントとして

夏の「土用の丑の日」は、「一の丑」「二の丑」とも子どもたちの夏休みの真っ最中です。感染状況が落ち着いていれば旅行や行楽地への観光などもできますが、仮に再び感染者が急増するようだと、活動を自粛せざるをえません。家の中にいても飽きさせない工夫のひとつとして上記で取り上げたような「代替商品」のレシピコンテストの開催や、夏休みの宿題である自由研究のサポートと題して、親子で一緒に料理することを目的に作り方のリーフレットの配布やイベントを企画するなど、このチャンスを生かしさまざまな角度からお客様に対しアプローチを行って、夏の売上確保と店のファン獲得に努めたいところです。

需要予測のヒントと販促のポイントが記載してある当社の販促カレンダーが、下記より無料でダウンロードできます。是非とも皆様の販促活動にお役立てください。

▼販促カレンダー
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